ドイツの労働環境は悪化しているのに、なぜ若いイタリア人は移住するのか/第893号

目次
コメントなど
ガストアルバイターという言い方には差別的な意味合いが含まれています。
元ガストアルバイター、88歳アゴスティーノのケース:
- 1960年代、建設業→自動車整備士としてドイツ勤務。
- 初期は帰省費用も出せない低収入、差別的扱いも経験。
- ドイツ語は独学で習得。
- 最終的に家族事情でイタリア帰国するも、帰国後すぐに仕事は見つからず。
ドイツの職業環境も実際には悪化していると思います。
それでもイタリアの優秀な人々がイタリアよりもドイツを選ぶのは、いかにイタリアの国内事情が悪いかを示すものでしょう。
イタリアの主な問題点:
大卒でも
- 無給〜低賃金インターンが常態化
- 月収 1,000ユーロ未満 も珍しくない
- 正規雇用への移行が遅い
- 30代でも不安定雇用が普通
- 学歴・専門性が賃金に反映されにくい
- 縁故・年功・地域差が大きい
- 若者失業率が長期的に高水準
👉 その結果、「悪化しているドイツですら、まだ『将来設計が可能』に見える」。
記事本文で興味深いのは、
1950〜60年代のガストアルバイターと2020年代の若手エンジニアが、
「国内に展望がない → ドイツへ」
という同じ動機で移動している点です。
周辺の国の環境には、ある程度関心を持つ必要があります。
中国の若年層の高失業率は知っている人も多いでしょう。国内に希望がないから外国に行こうと考える。
その対象の一つが日本となることは大いにあり得ることです。
今回の記事で重要なのは、
ドイツに行く=成功・夢の国だからではなく、「ここではないどこか」に行かざるを得ないという消極的選択だという点です。
記事中の青年リヴィアも、
「ドイツが好きだから」ではなく、「普通の初任給と展望があるから」
と語っています。
コメントは、ここから↓↓↓:
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前回出題分
どうして今またガスト・アルバイターが話題なんだろう?
直訳の「外国人労働者」以上に意味のある単語が気になった。
Junge Italiener
Nach Deutschland - wie damals die “Gastarbeiter”
70 Jahre nach dem Anwerbeabkommen ist Deutschland bei Italienern Auswanderungsland Nr. 1, vor allem bei gut Ausgebildeten. Es geht um Berufsperspektiven - und liegt vielleicht auch an den Erinnerungen der “Gastarbeiter”.
あれっ?本文のリンク置き忘れてた(汗)
因みにリンクは以下。
https://www.tagesschau.de/ausland/europa/italien-auswanderung-deutschland-100.html
わたしの訳
若いイタリア人
ドイツへ ー かつての「ガストアルバイター(外国人労働者)」のよう
人材募集協定から70年経ち、ドイツはイタリア人にとって移住先ナンバーワンだ。特に高学歴の人々だ。職業的見込みによるものだが、おそらく「ガストアルバイター」の記憶も影響している。
*ワンポイント
特になし。
訳例
良いですね。
---引用---
イタリアの若者たち
ドイツへ まるで往時の“出稼ぎ労働者”
労働力募集協定から70年、ドイツはイタリア人にとって、とりわけ熟練者にとって移住先としてナンバーワンである。職業のキャリアを重視するためだ。“出稼ぎ労働者”の思い出のせいもあるかもしれない。
---終わり---
今日の記事
花火・爆竹禁止をお医者さん組合が提言。何で?
Silvester:
Präsident der Bundesärztekammer fordert Böllerverbot
Der Ärztepräsident ruft die Politik auf, die Bevölkerung vor “wilder Böllerei” zu schützen. Jedes Jahr komme es durch private Feuerwerke zu schweren Verletzungen.
zeit.de
http://enchan.net/xl/GQjySd
訳を送ってください。
(公開を望まない時は希望しないにチェック)
和訳投稿:
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投稿期限:2026年1月2日(金)
ヘビ年よさようなら。そしてウマ年へ。
あとがき
今年も残りわずかとなりました。
裏庭に積もっていた大量の落ち葉を片付けました。
年内のゴミ回収は終わっているので、新年早々出そうと思います。
何分寒いので、身体を動かす時も「エイヤッ」と掛け声です。
本当は家の中の大掃除もやらなきゃならんのですが、こっちは必要最小限で勘弁してもらうつもりです。
今年も一年間お付き合いいただき、ありがとうございました。
ドイツの視点から時事的な情報を伝えることで、日本人である我々にも何か参考になれば良いと思っています。
ボーダーレスなどと言いますが、境目が無くなると良いことばかりではなく、不都合なこともあります。
情報過多の時代でもありますが、それは自分自身が何者なのかをはっきり認識すべき環境なのだと思うのです。
自由とは、何をやっても良いのではなく、そこには認識すべきルールがあるのです。
自分ばかりが良くて、他人はどうなっても知らない。それはルールを逸脱していると私は思います。
知らずに人を傷つけることもあるでしょう。それに気づいたらきちんと相手と向き合えば良いのです。
人間は、はるか昔の時代から、そうやって暮らしてきたのです。
心さえ開いていれば、必ず解決に向かうことができます。
皆様にとって幸せな時間が訪れることを祈って、今年最後の配信といたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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HARIBO先生
生きたドイツ語に触れながら、ドイツの様子が分かるように自分の経験も含めた時事的情報を発信します。
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