AfD42%、CDU22% 「防火壁」に追い込まれるCDUの少数政権構想/第928号

目次

ザクセン・アンハルト州議会選挙直前の世論調査で、AfDは42%、CDUは22%。
AfDを政権から排除すれば、CDUは左翼党の票なしに安定した多数派をつくれません。

9月6日のザクセン・アンハルト州議会選挙を前に、CDUの州議会議員から少数政権を支持する意見が出ています。連立協定を結ばず、政策ごとにAfDまたは左翼党の票を得て法案を成立させる構想です。

しかし、直近の世論調査ではAfDが42%、CDUは22%。現在のCDU・SPD・FDP連立の継続は難しく、AfD以外の政党を集めても、安定した多数派をつくるのは簡単ではありません。

AfDとも左翼党とも協力しないというCDUの「防火壁」は、東部州の議会構成と両立するのでしょうか。ザクセン、テューリンゲンですでに起きている少数政権の実態と比較しながら、選挙後にCDUが直面する選択肢を考えます。

前回出題分

ザクセン・アンハルト州議会選挙が9月6日

Landtagswahl in Sachsen-Anhalt
CDU-Kandidaten offen für Zusammenarbeit mit AfD

In der CDU sprechen sich einige Abgeordnete offen für eine Zusammenarbeit mit der AfD in Sachfragen aus. So wolle man auch Streit in die AfD bringen.

taz.de
http://enchan.net/xl/drTCVs

わたしの訳

ザクセン・アンハルト州議会選挙
CDUの候補者、AfDとの協力にオープン

CDUでは一部の議員が、政策上の問題について公然とAfDとの協力に賛成している。そうして、AfD内部にも対立を持ち込むつもりだ。

コメントなど

この記事の中心は、CDUとAfDが連立政権を組むという話ではありません。9月6日の州議会選挙で明確な多数派ができなかった場合、CDUが少数政権をつくり、政策ごとにAfDまたは左翼党(Die Linke)の票を得て法案を成立させるという構想です。

CDUの3人の州議会議員の考えは、それぞれ異なります。

議員選挙人名簿順位主張
ウルリヒ・トーマス6
  • 連立協定や事前の取り決めを結ばず、個々の政策についてAfDとも話し合う。
  • AfDにNATO、ロシア、EUなどをめぐる「越えてはならない一線」を示し、党内の急進派と穏健派の対立を表面化させたい。
  • 一方、左翼党による少数政権への閣外協力や拘束力のある取り決めは、CDUの分裂を招くとして拒否している。
アンニャ・シュナイダー16
  • 少数政権になれば、個別の政策についてAfDや左翼党の票も受け入れなければならない。
  • ただし、AfDの価値観にはまったく共感していない。
トビアス・クルル5
  • AfDはCDU政権の失敗を望んでおり、州をよい方向へ動かそうとする現実派もいないとして、AfDとの協力に反対する。
  • 望ましい形ではないとしながらも、左翼党の支援を受けるテューリンゲン州やザクセン州の方式を念頭に置いている。

つまり、「AfDとも左翼党とも協力する」という方針は、CDU内で共通している見解ではありません。AfDと左翼党の票を政策ごとに受け入れるべきか、どちらを現実的な交渉相手とみなすのかをめぐって、意見が分かれています。

背景には、2018年のCDU連邦党大会で、AfDと左翼党の双方との協力を排除すると決議していることがあります。しかし、すでにテューリンゲン州とザクセン州では、議会で過半数を持たないCDU主導の州政府を左翼党が支えています。

今回の発言は、選挙後に多数派をつくれない場合、2018年の決議を守りながら少数政権をどう運営するのかという、CDUが抱える難題を示しています。

なお、記事によると、ザクセン・アンハルト、テューリンゲン、ザクセンのAfDはいずれも、憲法擁護庁から「極右であることが確認された組織」と認定されています。

■ 直近の世論調査:AfDが42%、CDUは22%

Infratest dimapが2026年8月26日に公表した世論調査では、AfDが42%、CDUが22%となっています。両党の差は20ポイントです。CDUが選挙で第一党になり、単独で少数政権をつくるという状況は考えにくくなっています。

2021年の州議会選挙、その結果による選挙前の議席構成、今回の世論調査を比較すると、変化の大きさが分かります。

政党2021年得票率選挙前議席2026年8月調査2021年比
CDU37.1%4022%-15.1ポイント
AfD20.8%2342%+21.2ポイント
左翼党11.0%1211%±0ポイント
SPD8.4%98%-0.4ポイント
FDP6.4%73%-3.4ポイント
緑の党5.9%66%+0.1ポイント
BSW4%新党
その他10.4%04%

出典:Infratest dimap「Sonntagsfrage Sachsen-Anhalt」、2026年8月26日公表。調査期間は8月24~25日、対象はザクセン・アンハルト州の有権者1,511人。電話・オンラインによる無作為抽出調査。
https://www.infratest-dimap.de/umfragen-analysen/bundeslaender/sachsen-anhalt/sonntagsfrage/

先回の選挙の時のCDUとAfDの立場が逆転(それ以上)していますね。

選挙前の州政府は、CDU、SPD、FDPによる3党連立です。2021年選挙時の議席では、CDU:40、SPD:9、FDP:7の合計56議席で、全97議席の過半数49を上回っています。

ところが、今回の調査では3党の支持率を合計しても33%です。しかもFDPは3%で、議席獲得に必要な5%に届いていません。BSWも4%で、このままなら州議会に議席を得られません。2021年の連立をそのまま継続するのは難しい状況です。

■ CDUが取れる選択肢

5%以上の政党だけが議席を得ると仮定すると、今回の調査で州議会に残るのはAfD、CDU、左翼党、SPD、緑の党です。この5党の支持率を合計すると89%で、AfDの42%は議席配分の対象となる票の約47%。AfDは単独過半数に近いけど、わずかに届かない。

一方、CDUがAfDを政権から排除するなら、CDUだけでなくSPDや緑の党との連立が前提になります。それでも支持率の合計は36%。5%未満の政党を除いて計算しても約40%にとどまり、過半数には届かない。

過半数を確保するには、CDU、SPD、緑の党に左翼党を加える必要があります。この4党の支持率は合計47%で、議席配分の対象となる票の約53%に相当します。しかしCDUは、2018年の党大会決議で左翼党との協力も排除しています。

したがって記事が想定している「少数政権」は、現実的には左翼党を含む連立以外には考えられず、法案ごとにAfDの票を得ることになる可能性が高い。

■ ザクセンとテューリンゲンで起きている現実

CDUを中心とする複数党政権が過半数に届かず、議会で左翼党などの支援を必要とする状況は、すでにザクセン州とテューリンゲン州で起きています。

AfDCDU州政府政府議席/全議席過半数まで
ザクセン4041CDU+SPD51/12010議席不足
テューリンゲン3223CDU+BSW+SPD44/881議席不足

ザクセン州ではCDUがAfDを1議席上回っていますが、CDUとSPDの州政府は過半数まで10議席足りない。

テューリンゲン州ではAfDが第一党で、CDU、BSW、SPDの3党が組んでも過半数に1議席届いていない。両州では、CDU主導の州政府が左翼党の支援を受ける場面が生じている。

■ 「建前」と「本音」

CDUはAfDと左翼党の双方との協力を党大会決議で排除しています。しかし、東部州では両党を除いて安定した多数派をつくることが難しい。そのため、「事前の協定は結ばないが、法案への賛成票は受け入れる」という少数政権方式が浮上する。

トーマス氏は、AfDにも政権運営に参加したい穏健派がいると見て、NATO、ロシア、EUなどについて明確な立場を求め、党内対立を表面化させようとしている。つまり、AfDの分断を狙っている。

反対にクルル氏は、AfDに現実派はおらず、CDU政権の失敗を望んでいるとして、左翼党の支援を受けるザクセン、テューリンゲン方式を念頭に置いている。つまり、現実的。しかし、実現可能性は低い。

世論調査どおりの結果になれば、CDUが政権を取るためには、左翼党との関係を見直すなんていう悠長なことは言っていられません。それどころか、AfD以外の全ての党と連立するしか選択肢がありません。

現実は、どう贔屓目に見ても無理な状況を「非現実的」な建前で何とかしようとほざいている。そんな風に見えますね。

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訳例

CDUとAfDは、現状はまだ協力し合っているわけではありません。
今後の対応の現実的な選択肢だという意見がCDUにあるということです。

---引用---

ザクセン・アンハルト州議会選挙
CDUの候補者はAfDと公然と協働

CDUでは数人の議員がAfDと堂々と協力しあっていると話す。それでAfD内に軋轢を生じさせたいのだ。

---終わり---

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