ベルリン連立協議、CDUはどこへ――AfD伸長で変わる政権づくり/第937号

目次

ベルリンでは、CDUを外した連立協議が進んでいます。
一方、AfDは連立に加わらなくても、州議会の政権づくりを左右する存在になっています。

今回は、左派党・緑の党・SPDの連立協議と、住宅の「社会化」をめぐる合意を取り上げます。ブログでは、CDUの後退とメルツ首相への不満、AfDの伸長を、連邦の世論調査と州の選挙結果から掘り下げます。

前回出題分

CDUは仲間はずれ?

Überrascht vom Sondierungserfolg:
Berliner Linke rechnen mit klarem Votum für Koalitionsgespräche

Da Grüne und SPD in zentralen Punkten Zugeständnisse gemacht haben, scheint die Aufnahme von Koalitionsverhandlungen in Berlin Formsache. Doch eine Personalie überschattet alles.

zeit.de
http://enchan.net/xl/l6pWD6

わたしの訳

予備協議の成功に驚き:
ベルリンの左派党、連立交渉に明確な賛成票を見込む

緑の党とSPDが主要な点で譲歩したため、ベルリンでの連立交渉の開始は形式を整えるだけに見える。しかし、ある人事問題がすべてに影を落としている。

コメントなど

ベルリンでは、左派党、緑の党、SPDの3党が連立政権づくりに向けて動いています。10月24日の元記事によると、左派党内では、正式な連立交渉への移行を支持する声が強まっていました。

大きな理由は住宅政策です。大手住宅会社の住宅を社会化するという左派党の要求に、緑の党とSPDが歩み寄りました。住民投票で支持された構想を実行に移す道が開けるとして、左派党内でも予備協議の成果が評価されています。

ここでいうVergesellschaftung(社会化)は、大手民間住宅会社が持つ住宅を、補償を伴う法律上の手続きで共同所有へ移し、公益を重視して運営する構想です。根拠となる基本法15条は、補償の方法と範囲を法律で定めて、土地などを共同所有やその他の共同経済の形へ移すことを認めています。

今回の3党の予備協議文書では、1万戸以上を持つ民間企業を対象とし、各社に1万戸を残す枠を設けています。協同組合や公益を重視する事業者、2021年1月1日より後に建てられた住宅は除外。入居者の運営への参加も保障する方針です。補償総額は財政的に維持できることを条件に160億ユーロを上限とし、2027年に資金計画を決め、2028年半ばに移管法案を州議会へ提出する予定です。合意文書の段階であり、住宅の移管が決まったわけではありません。

参照: 基本法15条(ドイツ連邦議会)

参照: 3党の予備協議文書「Mehr gemeinsam, mehr Berlin」7ページ

ただし、党内の全員が賛成しているわけではありません。正式な交渉でも合意内容を守り、単なる意思表明ではなく、実行期限を明確にすることを求める声があります。交渉開始への賛成と、連立政権の成立は別の段階です。

一方、記事末尾の「ある人事問題」とは、左派党のヴァネッサ・エムデ議員への対応です。記事によると、同議員はイスラエルの生存権を繰り返し否定し、自ら署名した会派の確認事項に反しました。このため、会派内では批判が強まり、会派からの除名も取り沙汰されています。

参照記事:
https://www.tagesspiegel.de/berlin/uberrascht-vom-sondierungserfolg-berliner-linke-rechnen-mit-klarem-votum-fur-koalitionsgesprache-16194653.html

なお、SPDの立場はベルリンと連邦で異なります。ベルリンのSPDは上記の条件で社会化に合意しましたが、連邦のフーベルツ住宅・都市開発・建設相(SPD)は、費用が大きいうえ住宅が新たに増えるわけではないとして反対し、社会化を阻む連邦法を進める意向を示しています。

ただし、連邦政府内でも法的な手段まで一致しているわけではありません。10月26日の政府記者会見で、司法省はフービヒ司法相(SPD)も政策としての社会化に反対していると説明する一方、連邦法で一律に禁止することは憲法に反するという立場を示しました。社会化に反対することと、それを禁止する法律に賛成することは別です。

参照: フーベルツ建設相インタビュー(t-online、2026年10月16日)

参照: 連邦政府記者会見(2026年10月26日)

政策面では連立交渉への道が開ける一方、党内の足並みをどうそろえるかという問題が残っています。

参照記事: https://www.tagesspiegel.de/berlin/uberrascht-vom-sondierungserfolg-berliner-linke-rechnen-mit-klarem-votum-fur-koalitionsgesprache-16194653.html

CDUは「仲間はずれ」なのか

今回の連立協議を見て気になるのは、CDUの立場です。連邦ではメルツ首相への不満が強まり、州の選挙でも厳しい結果が続いています。ただ、ベルリンで起きていることを「左派3党がCDUを仲間はずれにした」とだけ捉えると、選挙結果と政策の問題が見えなくなります。

9月20日のベルリン州議会選挙で、CDUの第2票得票率は18.8%。前回から9.5ポイント下落しました。一方、左派党は25.7%、AfDは16.3%でした。確定した153議席の内訳を見ると、連立の可能性がよく分かります。

政党議席
左派党45
CDU33
AfD29
緑の党25
SPD21

過半数は77議席です。左派党・緑の党・SPDは91議席。CDUを含まなくても十分な多数を持ちます。ただし、CDU・緑の党・SPDでも79議席になるため、数字だけならCDUを軸にした3党連立も可能です。現在の協議は、議席の計算だけでなく、住宅政策などでどこが合意できるかという政治的な選択でもあります。

参照: ベルリン州選挙管理当局:確定得票結果

参照: ベルリン州選挙管理当局:確定議席配分

メルツ首相の不人気と、州議会で失う足場

連邦の数字も厳しいものです。10月27日公表のForsaの調査では、CDU/CSUは21%、AfDは27%。メルツ首相の仕事に満足している人は12%、不満は86%でした。しかも、CDU/CSU支持者に限っても、不満が58%で満足の40%を上回っています。

ただし、この調査ではCDU/CSUは2週続けて1ポイントずつ回復しています。低迷は深刻でも、毎週下がり続けているわけではありません。また、これは10月20~26日に2,501人を対象に行った世論調査であり、選挙結果とは区別する必要があります。

参照: RTL/ntv Trendbarometer(Forsa、2026年10月27日公表)

州議会では、支持の低下が実際の議席に表れています。9月6日のザクセン=アンハルト州議会選挙では、CDUは17.2%で15議席。AfDは43.8%で83議席中39議席を獲得しました。9月20日のメクレンブルク=フォアポンメルン州では、CDUは4.9%にとどまり、AfDは38.2%でした。

参照: 連邦選挙管理官:ザクセン=アンハルト州議会選挙結果

参照: メクレンブルク=フォアポンメルン州選挙管理当局:確定結果

一方、CDUが全国の州で一様に崩れているわけではありません。3月のラインラント=プファルツ州選挙では33.9%で第1党となり、バーデン=ヴュルテンベルク州でも29.7%、56議席を確保しています。深刻なのは、とりわけ今回の東部の州とベルリンでの後退です。各州の結果を、メルツ首相の不人気だけで説明することもできません。

参照: 連邦選挙管理官:ラインラント=プファルツ州議会選挙結果

参照: バーデン=ヴュルテンベルク州議会:2026年選挙結果

AfDは連立に入らなくても影響を及ぼす

ベルリンのAfDは29議席を持ちますが、CDUと合わせても62議席で、過半数には届きません。さらに、ベルリンCDUの筆頭候補エーファースは、選挙前からAfDとの協力を否定しています。少なくとも、この2党で政権をつくる数字も政治的な前提もありません。

参照記事: rbb:エーファース候補、AfDとの協力を否定(2026年9月7日)

しかし、連立に入れないから存在感がないとは言えません。ベルリンのAfDは前回から第2票の得票率を7.2ポイント伸ばしました。西部でも、ラインラント=プファルツ州で21.3%、バーデン=ヴュルテンベルク州で18.8%を得ています。AfDの支持を東部だけの現象として片づけることはできません。

ザクセン=アンハルト州では、CDU・SPD・緑の党・左派党の議席をすべて足しても39。過半数の42議席に届かず、AfDの39議席と同数です。残るBSWが5議席を持つため、AfDを含まない過半数を組むにもBSWが必要になります。これは議席配分から分かることで、特定の連立が成立したという意味ではありません。

ここにAfDの伸長がもたらす問題があります。AfDが政権に参加しなくても、その議席が増えれば、ほかの党は従来より幅広い組み合わせで合意を探さなければならなくなる。政策の隔たりが大きい政党同士でも、政権づくりのために協議を迫られるわけです。

CDUに問われるのは、誰と何を実現するか

ベルリンでCDUを外した連立協議が進む一方、別の州ではAfDを含まない多数をつくること自体が難しくなっています。州ごとに状況は違いますが、CDUが当然のように政権づくりの中心になれるとは限らなくなった、という点は共通しています。

私は、メルツ首相の不人気だけでなく、州議会でCDUが多数形成の中心を担えなくなっていることを重く見ます。首相を出している党でも、州の有権者が支持するとは限りません。AfDと距離を置く方針を掲げるなら、その上で誰と組み、住宅や生活の問題で何を実現するのかを示す必要があります。

ベルリンの3党も、連立を成立させるだけでは評価は決まりません。今回の住宅政策の合意が実行され、生活の改善につながるのか。CDUの後退とAfDの伸長を考えるうえでも、そこを見ていきたいと思います。

コメントはこちら:
https://sypangu.net/berlin-coalition-cdu-afd/#comments

訳例

問題ありません。

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事前協議の成果に驚き
ベルリン左翼党の党員らは連立協議に明白な賛成の意思を想定する

緑の党とSPDは核心的な点で譲歩したため、ベルリンでの連立協議の開催は形式的な事案のように見える。だが、ある人物をめぐる問題がすべてに影を落としている。
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